最後の血肉晩餐
「恵美さん、ほら大丈夫? 座って」


「……ありがとう」


繋いだ手を離すと、冷たい風を感じた。好きな人の手はなんて暖かいんだろう……。


「ごめんね、疲れてるって知っていたのに戻ってきちゃった。でも言った通りでしょう? また会えるって。恵美さんに会わなければいけなかったんだ。運命って奴だよ」


「私も少し離れただけなのに、会いたくてしかたなくなった。不思議ね……出会ったばかりなのに、こんな気持ち……」


「はい! 水戸さん、往復させちゃってゴメンなさいねぇ? これでも飲んでゆっくりして下さいな。恵美さんの手作りワインなんですのよぉ」


シスターはステンレスの銀色のワゴンに、ワインボトルとワインが入ったグラス三つ、そして簡単なお摘み、チーズがのせてあった。


――シスターがワインを注いで持ってくるなんて珍しい。


「簡単なチーズだけ、ご用意しましたわぁ? 足りなければ言ってくださいねぇ」


「ありがとうございます。シスターも座って下さい。突然来ちゃって本当にすみません……」


シスターは水戸と私の目の前にワイングラスを置き、対面に座った。


「さぁ、頂きましょう? お疲れ様、水戸さん。二人の幸せにもかしらぁ? うふ。乾杯ぃ!」


怖くて、グラスに口をつけられなかった。水戸さんは? 
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