腕枕で眠らせて



だって。似合わない。あまりにも。


高身長のスマートな身体をキリッとスーツに包んだ色気さえ漂う大人の男性が、拘りがありそうな渋い皮の財布からカフェのポイントカードを出す姿。


ギャップってレベルじゃない。これは相当面白い。


「あは、あははは。水嶋さん、ポイントカード持ってたんですか?」

遂に笑い声を上げてしまった失礼な私にも動じず水嶋さんは

「最初に来たときに作ったんです。ポイントカード大事ですよ。うちの店でも扱ってますから、お客さんの目線を知るためにも積極的に作るようにしてるんです」

そう言ってカードをカルトンに乗せた。


ふうん、なるほど。お仕事の一環か。

でもやっぱり、その姿には笑いが込み上げて来ちゃう。


と、そんなやりとりをポイントカードにスタンプを押しながら営業用スマイルで見ていた店員さんが、突然

「あ…少々お待ちください」

と言ってお店の奥へ引っ込んでいった。


そして駆け足ですぐに戻って来ると小さな箱を水嶋さんに渡しながら言った。



「本日お誕生日ですね、おめでとうございます。バースデーご来店のお客様にお店からのプレゼントです」



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