腕枕で眠らせて



それから、少しの雑談を交えながらも新しいお店の話を聞いたり今後の取引の話をしたりと、会話は終始ビジネスモードで進んだ。


ちょっと物足りない気もするけど、これでいいんだと自分に言い聞かせ、きっと多忙であろう水嶋さんを気遣って早々に切り上げる事にした。


二人でレジに向かうと当然のように水嶋さんが財布を出す。


「今日は私に払わせて下さい」

水嶋さんのお話に応えられなかったせめてもの気持ちに。…お茶代ってのもショボいけど。

「いいえ。僕が呼んだんですから」

けどやっぱり水嶋さんはスマートに私の申し出を断ってしまう。



「当店のポイントカードはお持ちですか?」


お札をカルトンに乗せた水嶋さんに向かってレジ係の店員さんがにこやかに聞いた。


「あ、あります」


そう言って皮の長財布からポイントカードを取り出した水嶋さんを見て私は思わず吹き出した。


< 109 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop