腕枕で眠らせて
―――もう私には関係無い。
愛子と別れてからの帰り道で、お風呂の中で、眠れないベッドの中で、その言葉を何十回と繰り返した。
もう二年も前に別れた人の事。
酷い男で早く忘れたい過去の事。
もう私とはなんの関係も無い事。
繰り返す。繰り返す。呪文のように何回も。
なのに、なのに。
……馬鹿な男。仕事失敗して会社辞めて彼女にもフラれて。ほんと頼りない。何やってるのよ。
思考の隙間から感情が零れてくる。
―――私のコト散々傷付けた癖に。
―――せめて元気で狡い男でいて欲しかった。
「……馬鹿な男…」
…苦しい。
こんな気持ち、意味が分からない。
考えたくもない。
もて余した感情の意味が分からなくて、私はうつ伏せた顔をぎゅっと枕にうずめた。
コチコチと掛け時計の音が響いて夜が更けていく。