腕枕で眠らせて





それでも、ほんの欠片でも吐き出して受けとめてもらえた事で、私は少し元気になれた気がする。



「帰るんですか?」


「うん。紗和己さんのおかげで元気になれたし。私も受注してるサンキャッチャー作らなくっちゃ」



本当は一緒に夜を過ごしたいけど、そうするときっと紗和己さんは私のために時間を割いてしまうから。

私が眠るまで寄り添って、それからひとりで起き出して朝まで仕事をするような、そんな無理をしかねないから。


送っていくと云う申し出だけ素直に甘えて、ひとりで夜を越える事を決めた。




夜の街を走る車の中で、信号で停まるたび私を心配そうに窺っていた紗和己さんが4回目の信号待ちの時に口を開いた。



「美織さん。来週、僕と目黒まで行きませんか」


「目黒?」


「自由ヶ丘に出来る三店舗目が先週から着工されてるんです。良かったら一度見に来ませんか」


「えっ、いいの」


「もちろん。美織さんにも見て欲しいです」



紗和己さんの誘いに、ほわっと顔が綻ぶ。

素直に、嬉しいと思った。


恋人のまま、彼の仕事に寄り添える事が。

彼の大切な場所へ連れて行って貰える事が。







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