腕枕で眠らせて
私を楽にしてくれた約束の日は
真冬の水曜日。
渇いた晴天の青が怖いほど延々空に続いてた。
最近、紗和己さんと会うときは仕事の後が多かったから。
だから、ランチコートにカットソーとマフラーと云うカジュアルな格好で迎えに来た彼を見て、なんだかホッとしたような喜びが込み上げた。
「スーツじゃなくていいんですか?」
「今日はオフですから。今日の僕は打ち合わせに行くオーナーじゃなくて、建設現場を見学に来た只の好奇心旺盛な男です」
そっか。今日は紗和己さん休みなんだ。
その安心と相まって素直に笑いが零れる。
「ふふ、見学なんて紗和己さん小学生みたい」
「美織さんも今日は小学生気分でいきましょう。社会科見学ですよ」
「あはは、やだ、紗和己さん可笑しい」
なんだか久しぶりに明るい気分になれた。
こないだ感情を吐き出せた事も私を楽にしたのかも知れない。
混んでたり混んでなかったりした道路を走りながら着いた先は
既に大きなテントで覆われている活気溢れる建築現場だった。
カフェやブティックの建ち並ぶ通りの角に位置する【pauze】の3号店は、場所からして陽当たりの良いのが窺える。
「いい場所ですね」
と感想を零した私に、紗和己さんの表情が得意気に笑う少年のようなそれになった。