腕枕で眠らせて





翌日、約束した時間通りに水嶋さんの経営する雑貨店へ行った。



大通りに面した店舗はダークブラウンの外壁に入り口前に観葉植物が飾ってあって、想像していたよりずっとシックな雰囲気だった。


【 pauze 】と書いてある木製の看板を見ながらドアを開くと、鈴のような音のドアベルが鳴って中から

「いらっしゃいませー」

の声が響く。



そこで一歩足を踏み入れて、私はギョッとした。


「やあ鈴原さん、いらっしゃいませ。お待ちしてました」


「み…水嶋さんっ!?」



店のレジカウンターから出てきて私を出迎えてくれた水嶋さんは

昨日の端整なスーツ姿とはうってかわって、リネンの白いシャツとチノパンと云うラフなスタイルの上にビブエプロンを着けた、とても『経営者』らしからぬ姿をしていた。


…正直、一瞬バイトのお兄ちゃんにしか見えなかった。



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