そして 君は 恋に落ちた。



「やめて…」


「何がですか?」


流しを背にした私を彼はその両腕で囲う。そんな私は、見下ろす彼から顔を背けるのがやっとで。


「必死、ですね」


クスッと笑う彼の息が私の髪を揺らした。



「離れて」

グッと彼の胸を押す。

どうにか隙間を作らないと。……女の私が顔を出そうと狙ってるから。



「どうして?」

言いながら、押し出す私の手首を掴み自分の背中に回す彼。
後ろから見たらきっと、抱きしめ合ってるように見える。


「…やっ」

「ダメですよ、」


腕を引く私の耳元で囁くかれ……瞬間、下腹部がキュッとなる。



……どこまでも


「もう、離せない」


彼を欲するのか…―――






「―――んんっ」



甘い。そう呟く彼は、私の唇を愛でるように味わう。

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