そして 君は 恋に落ちた。




“もう、離せない”


そう言った彼の言葉に、もう、押しのける力は出せなかった。

後はもう、彼の求めるまま。


……違う。

“私も”求めるままに。




どれ位そうしていただろう……

最後に彼は盛大なリップ音をさせながら、ゆっくり唇を離した。



「先輩…」


右手は私の腰を持ち上げるように支え、左の人差し指でゆっくり私の唇を撫でる。

眼鏡は何時の間にか外され、ぼやける視界の中、彼のその仕草に咽を鳴らした。



「続きはまた明日…」


耳に軽く唇を当て、色気のある声で囁かれたら―――



もう、あなただけが欲しくて。







気付いたら、始業時間5分前。


給湯室からやっと出れた。



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