そして 君は 恋に落ちた。


フラフラ揺れる体。


足に力が入らなくて。
でも、それでも立ち止まりたくなくて。

家までの道をただ歩く。……歩く。




また鳴ってる……。

幾度となく鳴る携帯。


友達のいない私にかけてくるのは、実家の母と、瀬川君に小林君。

それと……

思って、ノロノロとポケットの携帯を取り出した。


……まだ何を期待していたのか。



“着信 小林君”


その表示に、足を止めた。




それでも出ない私にまた着信が入る。


……また、小林君。




後少しで家。

私は大きく息を吸うと、通話ボタンを押した。



「『良い度胸だな。俺の電話無視しやがって』」


聞こえたのは、機械と反対の耳から。


バッと振り向くけど、誰もいない。


「……小林君いまどこに…」


言いながらゆっくり前を向き直ると、


「『お前の前に』」


携帯を耳に当てた小林君が立っていた。


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