そして 君は 恋に落ちた。
「お前さー」
少しふてくされた小林君は、手にしていた携帯を仕舞い私に向かって歩いてくる。
「飲み会断って何してんだよ」
文句を言いながら目の前に立つと、私を見た瞬間、眉間にしわを寄せ
「……とりあえずさみーから家入れろ」
言って、私の手を掴みマンションまで引きずるように歩き始めた。
「………」
「腹減ったー。嘘ついた罰としてメシ作れ。
不味かったら許さねーから」
ズズッと鼻をすすり小さく頷いた私の手を痛いほど強く握って引っ張ってくれる。
その温もりを感じてしまったら……
もう、限界で。
「……こ、ばやし、く…っ」
街頭が薄く照らす中、震える声が響く。と同時に力一杯腕を引かれた。
「……泣くなよ」
呟く声は頭上から。
彼の腕は、私を力一杯抱き締める。
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