そして 君は 恋に落ちた。
エレベーターのドアが開き、彼女にかち合うかと心配しながらエントランスを抜け自動ドアを出たけど、彼女と会う事はなかった。
変わりに、スーツ姿の男性がこちらに向かって来た。
私は泣いてぐちゃぐちゃな顔を見られないよう顔を伏せ、急ぎ足でマンションを後にする。
彼女はどこかで時間を潰してるのかな。
……悪いことした。
―――見上げた空。
零れ出しそうな涙をこらえ、下が少しカケた月を見上げた。
―――彼の“特別”にはなれなかった。
それでも。
この恋は、私の記憶の中の一番深い所に大切に残る。
ずっと―――…
震える私の吐き出した息は白く、ただただ、そのカケた月を見ていた――――…
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