そして 君は 恋に落ちた。
東向きのここは、窓を開けると気持ちいい風が流れる。
私の好きな場所。
雑誌を広げていると、ざわざわと賑やかになってきた。
時計を見ると、始業時間10分前。
私は雑誌を閉じて買い物袋に仕舞い席を立った。
そして経理部までの廊下を歩いていると、前から茶色の髪をふわふわさせながら歩いてくる彼の姿を見つけた。
彼は真っ直ぐ私を見たまま、
「おはようございます」
と言った。
……ヤバい。
何も言わず、伝言も残さずホテルから出てきたんだった。
それでも何とか動揺に気付かれないよう普通の声で「おはよう」と言えた。
「先輩、これ」
彼が出したのは水色の封筒。
「……? 誰から?」
受け取りながら、封をされてないのを確認して中を覗く。
「俺からです」
中身は、諭吉さん3枚。
私が固まってる間に彼はUターンして部署に戻っていく。
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