そして 君は 恋に落ちた。

……いやいや!


「ちょっ…松田君!これ」

「昨日の分です」

「何言ってるの!私が誘ったんだから」

「普通こうゆうのは男が出すもんです」

「いや、私の」


“勉強代”と言いかけて、慌てて口を噤んだ。


すでに部署に着いてしまってこれ以上話せない。



……どうしよ……。

痛むお腹を抱えながら、さらに頭も抱えたくなる……。



それでも時間は進み、気付けば昼休みになっていた。


私はまた雑誌を休憩所で広げていた。



「……何見てんだ?」

「本」

「んなもん分かんだよ。そうじゃなくて何の本……って、ファッション誌?!」


「ハルヒのくせに!」って暴言吐くのは瀬川君で。



「あ、私ミルクティー」

自販機に小銭を入れる彼に言うと、舌打ちした。


「……これだろ」

それでもこうして買ってくれる彼は本当に優しいと思う。

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