くまのまーくんのお話
真夜中だというのに、何故だか電気が点いていて、ちょっとびっくりしてしまいました。
縁側からそっと中を覗くと、部屋の中央にはお布団が敷かれていて、そこにおばあさんが寝そべっていました。
「あー」と思ったまーくんでしたが、その両側に、女の人が一人ずつ座り込んでいたので、声をかけるわけにはいきません。
どうしようかと考えていると、その二人の、ボソボソとしたおしゃべりが聞こえて来ました。
「やっぱりダメだったわね…」
「でも、まーく…正彦君が駆け付けるのには間に合ったから。その後少しだけ一緒に過ごせたし」
「もう意識はなかったけどね…」
ふー、とため息を吐いてから右側の女の人が続けました。
「お隣さんがすぐに救急車を呼んでくれたから、たとえ数日でも持ちこたえられたのよね」
「ちょうど家の前を通った時に、柿の木の側の脚立から、ふらっと崩れ落ちるおばあちゃんを見たらしいのよ」
「脳溢血だっけ?お正月に会った時はあんなに元気そうだったのに、分からないものよねぇ」
「元気って言ったって、もうすぐ80だったもの。一人息子の正彦君が、もうちょっと頻繁に帰って来てあげれば良かったのにねぇ」
「それは仕方がないわよ。それぞれ事情があるんだから」
縁側からそっと中を覗くと、部屋の中央にはお布団が敷かれていて、そこにおばあさんが寝そべっていました。
「あー」と思ったまーくんでしたが、その両側に、女の人が一人ずつ座り込んでいたので、声をかけるわけにはいきません。
どうしようかと考えていると、その二人の、ボソボソとしたおしゃべりが聞こえて来ました。
「やっぱりダメだったわね…」
「でも、まーく…正彦君が駆け付けるのには間に合ったから。その後少しだけ一緒に過ごせたし」
「もう意識はなかったけどね…」
ふー、とため息を吐いてから右側の女の人が続けました。
「お隣さんがすぐに救急車を呼んでくれたから、たとえ数日でも持ちこたえられたのよね」
「ちょうど家の前を通った時に、柿の木の側の脚立から、ふらっと崩れ落ちるおばあちゃんを見たらしいのよ」
「脳溢血だっけ?お正月に会った時はあんなに元気そうだったのに、分からないものよねぇ」
「元気って言ったって、もうすぐ80だったもの。一人息子の正彦君が、もうちょっと頻繁に帰って来てあげれば良かったのにねぇ」
「それは仕方がないわよ。それぞれ事情があるんだから」