マーブル色の太陽
「お待たせ」
合瀬は赤い色にまみれた棒を持って僕の方に歩いてくる。
僕は逃げ道を探すが、僕の行ける場所は、遥か下の道路に飛ぶか、燃え盛る火の中に滅するしかない。
「完全にナッチャわなイと……殺シちャうヨ?」
合瀬は棒を振りかざすと、僕の眉間すれすれにその先を置く。
棒の先からは何人分もの赤いものが、ドロドロに混ざり合い、僕の顔に滴り落ちる。
『ナあ、早く替っとイた方が良カッタだロ?』
僕は目を閉じた。
みどりの顔が浮かんだ。
両親の顔も見える。
教室の風景。
あかねさんとチョコパイ。
江口さんと肉まん。
ショッピングセンター。
図書館……。
これが「走馬灯』というものだろうか。
僕は死ぬのか。
まだ……やりたいこともいっぱいあるのに……。