マーブル色の太陽
あの時、後続のバスは来なかった。
もし、僕らのバスが連なって出発していたとすれば、今回の事件もなかったのかも知れない。
だが、僕らの次に出発するはずだったバスは、使用不可能な状態になっていた。
その点に関し、バス会社の運行前点検が適切であったか論議が行われようとしたが、バスのタイヤのボルトは抜き取られ、タイヤも大きく切り裂かれていた。
明らかに人為的な破壊が行われていた。
馬場先生は当然、バスの行程も把握していた。
つまり、どのバスが先頭を走り、僕らのバスが何台目かということも。
僕らが登山に出発し、待機していた運転手達は適当な場所に集まり昼食を取っていた。
悪いことに、駐車場付近は落石防止の擁壁工事が行われており、重機の音に遮られて、バスに細工する音は一切聞こえなかったらしい。
その工具もすべて、馬場先生のステーションワゴンから見つかった。
後部座席には小さいサイズの発電機も一緒に乗っていたらしい。