マーブル色の太陽


「ん?」


みどりが首を傾げて、こっちを窺う。

僕の視界はどろどろに溶け始め、周りの風景すらわからなくなる。

その歪み始めた視界の中、みどりの顔だけを必死に探す。


「忘れるな……」

「え?」

「僕のこと……忘れないで……」


僕はゆらゆらと揺れている。

暖かな空気。

緩やかな水。

僕は体を満たす優しいものに包まれ、徐々に徐々に、意識は離れていく。

もう、立っているのか、倒れているのかすらわからない。
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