ウシロスガタ 【完】
「ご指名の方はございますか?」


「優菜ちゃんで…」


スーツを着た男が酒を作りながら先輩とやり取りしている


俺には全く分からない会話


「かしこまりました」



そう言って優しい微笑みで俺達の元から去った



「そんなキョロキョロすんなよ」


先輩の言葉にシカトしながら周りを見渡した



知らない男の隣で笑う女の子達……



客と一緒にデュエットしてる
女の子……



みんなが笑い合うこの店の中で俺だけが浮いている気がした




「さと、気に入った子が居たら後からでも指名出来るからよ?」



「…………。」



俺は女なんかいらない、


一人のが楽だ。



何処を見ても幸せそうに笑う客。


楽しそうに笑う女の子達。


やっぱり俺は、この場に相応しくないと思えた
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