冷たい世界の温かい者達
『……で、何』
「そんなに不機嫌そうな顔するなよー」
笑うと、誰のせいだと目が言っていた。
『んで、どこに付き合って欲しいの』
「んーホテル」
『……』
「と、言いたいところだけど時間もあんまり無いだろうし、服とか見に行こう」
由薇が黙って拳を上げたので慌てて方向を変えてよかった。
だって、忘れかけてるけどあの冷蝶だぜ?
殴られたらひとたまりもねぇよ。
「どっか行きたいとこある?」
『何にもない』
「……うん、もう少し社会勉強しようか」
はぁー…ホント抜けてると言うかなんと言うか……
由薇はじっと俺の指示を待ってるみたいに見てくるから、俺はとりあえずお気に入りのアクセショップに入った。
『男物だね』
「女物はあっちー。 店の右側にあるよ」
由薇も一応女物見るんだ。 なんて失礼なことを思いながらピアスを見る。
『……ピアス?』
「ぅおっ」
いつの間にか俺の隣に来てたらしい由薇は俺の見ていたピアスをじっと見ていた。
「何かいいのあったか?」
『もう買った』
「え? 早っ」
ひょいっと見慣れたロゴの入った袋を持ち上げて見せる由薇は少し満足げに見える。
「何買ったんだよ~?」
『ん? ピアスとタバコケース』
「…二個目はダメじゃないかな~」
『お母さんへのプレゼントですって言っといた』
このガキ。 何平気で嘘吐いてんだ。
『成一が見てるのはこれか?』
ひょいっと由薇が持ち上げたのは俺がさっき見ていたアクアマリンの石がはまったシンプルな物。
こいつすげぇ観察眼だな。
関心していると、由薇はそのピアスと俺の耳を見比べていた。
『何か似てるぞ』
「いいんだよ。 青系色が好きなんだよ」
それを奪い取ってレジに十字のネックレスと共に持って行った。
「お、久しぶりじゃねぇか。 てか、その姉ちゃんお前の連れか。」
レジでタバコを吸ってるこの人は店長…らしい。
いや、詳しくは知らない。