冷たい世界の温かい者達
「病院が忙しくってありゃしねぇよ」
「善さん……」
イライラしたように眉間にシワを寄せながらタバコを吸い込む善さんは由薇に近寄り頭を叩いた。
「てめぇだけは潰れんなよ。周りが頑張ってんだ。
たかがてめぇみたいなクソ餓鬼に、だ」
『……わかってる』
由薇は悔しそうに唇を噛み締めて目を伏せた。
これからが大変だ。
あの女の証拠も何もなかった。
だから余計ややこしく拗れた事件になっている。
髪を掻き上げると同時に鳴った着信音は由薇のモノだった。
何となく嫌な予感がして目を向けると、由薇も眉間にシワを寄せて携帯を握っていた。