冷たい世界の温かい者達
『……はぁ…
お前達だけで帰れ。 朔は後で送る』
「ごめんね、由薇」
衣緒は泣きそうなほど目に涙を溜めて声を震わせながらそう言った。
そのごめんには、どれだけの意味があったのだろうか。
きっと、俺にはわかる。
お前達と同じ思いなんだから。
『お前達が気にすることじゃないだろ?
さ、早く帰れ。 組員もお前等が送られなきゃ休めないだろう?』
由薇の微笑みに息を飲んだ成一は唇を噛み締めながら衣緒の腕を引っ張った。
「また何か困ったら連絡してね」
『……あぁ』
「くれぐれも1人で思い悩むなよ」
『あぁ。 わかったから、帰れ』
その言葉に渋々帰って行った4人を見届けてから由薇は俺を見た。
『……何か言いたげな顔だな。
私の部屋で少し話すか?』
頷くと、由薇は俺が掴んでる手を後ろにつられそうになりながら長い廊下を進んだ。