はじめからおわりまで
「家ここ?ゆなちゃんってセレブなんだ」

「違います、ただ親が仕事好きなだけです」

自宅の前でそんな言葉を交わす。

「じゃあ、また明日ね。7時30分位に迎えに来るから」

「本気ですか?」

「なんで信じてないの?あ、そだ。ゆなちゃんの携帯番号教えて?ついでにアドレスも」

「良いですけど、私メール苦手ですよ?」

しぶしぶ鞄から携帯電話を取りだして渡す。

「ん、俺気にしないから大丈夫。あ、でも読んだら一言でも返事が欲しいかも。いや、返事して?顔文字でもなんでもいいから!」

そう言いながら器用にアドレス登録をしていく。

「はい、さんきゅ」

戻ってきた携帯電話の画面には、健太さんの名前が表示されている。

「今日はありがと。おやすみ」

「おやすみなさい」

彼は私に背を向けて、歩き出した。
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