幸せの掴み方
食事を終えた柚香は、近くのコンビニで、おにぎりを買い、秘書課に
戻り、給湯室で、お茶を淹れ、おにぎりとお茶を持って、社長室へと
向かった。

社長室では、まだ話をしているようで、中から

「そうだな、そうしてみろよ。

 柚葉は、今まで、人を頼らな過ぎて来たから、少しは頼って
 見るのも良いぞ!?・・・・」

そう聞こえた後は、話し声が聞こえなくなった。

多分終わったんだと思い、柚香は、社長室のドアをノックし、

「どうぞ」

「失礼します。社長、よろしかったら、こちらを召し上がりませんか?」

「あっ、良いかい? 良かった、今日は、お昼抜きだと、今、覚悟
 していたんだよ! 助かった!・・・・」

「課長が、もしかするとお昼抜きになってしまうと困るからと・・・・」

「あぁー、本当に!? ありがとう。

 川崎さんにも、迷惑かけたね!?」

「いえ、私は・・・・失礼します。」

柚香は、そう言いながら、社長室を出た。

社長の、電話の声は、とても優しい声だった。

あの話し方を聞いていると、今でも奥さんに未練があるのではないか!?

そんな優しさの籠った声だった。

そんな事を思いながらも、柚香の胸は、ズキズキと痛んでいた。
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