幸せの掴み方
引っ越しが終わると、美代子は、卒業祝いにと、家電やら家具を
一式、プレゼントしてくれた。

「お母さん、良いのに・・・・自分で買えるよ!
 そのためにバイトしてきたんだから・・・・」

「いいのよ。今まで何もしてやれなかった、私からの罪滅ぼしよ!
 受け取って・・・・」

「・・・お母さん・・・・・ありがとう・・・・・」

この時、柚葉は、初めて母を、受け入れられたような気がした。

今まで、何度も食事をしたり、話をしたりしてはいたが、心のどこかで
『私は、この人たちの不必要な子供』という考えがあって、なかなか美代子を
素直に受け入れることが出来なかったのだが、こうしていると、美代子が
柚葉を手放したことを、後悔している様子が良く解り、母からの不器用な
愛情表現を見ているうちに、美代子を受け入れられている自分が、
いるのが解った。

両親の離婚で、子供ながらに傷ついたが、今ではそんな両親を少しずつ
でも許せる自分がいることに、最近は気づいている。

そんな母、美代子との関係を築きながら、柚葉は、大学を卒業し
優香と共に、センチュリー商事へと入社した。
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