そして少女は兵器になる
「!?」

彼女が驚いている間に、グンと髪を引っ張る。

思いの外軽い彼女が、宙を一直線に渡ってくる。

私はだから、右手を突き出した。

少女の顔面目掛け、やはり、一直線に。

ところが少女は、私の手が届く寸前で身をひねり、目の前に着地した。

すぐそばにいる彼女は、どうしても、自分に思える。

彼女の赤い目……ほら、やっぱり私も、目は赤いに違いない。

「うあああ――っっ!!」

死に物狂いな大声をあげて、彼女が突進してくる。

両肩を掴まれ、勢いそのまま壁へ抑えつけられた。

そして、

「ああああああっ!!」

文字通り口やかましく、少女は私の首筋に、噛みついた。

容赦も優しさもないぶつりという破裂音が、鳴った。
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