そして少女は兵器になる
それは、私の首筋からの音であり、私の生が、じゅるずゅると啜られる予兆でもあった。

痛みが体中を、血流を介して駆け抜けていく。いやあるいは、吸い出されていく。

私から薄れていく、生と赤の濃度。

寒さが爪先から徐々に這い上がって来る、凄まじく無慈悲な、恐怖。

私は、

「だ、め」

その恐怖を、真っ向から否定した。

同時に、私の首に噛みついてる彼女の存在も、いっそう。

反射的に腕を突き出した。

彼女を押し飛ばそうと思った。

ところが、そう、私の力は思いの外強い。

「っっぎゃああああああああああああああああああああああ!?」

だから気付いたら、腕は彼女の腹に潜り、内蔵を引きちぎり、背中を突き破っていた。

緩くパーの状態にある私の指に、彼女の臓物が、まるで蔦のようにずるりと絡んでいる。

手を握ったり開いたりすると、柔らかくて弾力性のある手応えが、生々しい。

「きもち、わるい」

素直に、そう思った。
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