エリートなあなたとの密約
同じく修平の毅然とした真っ直ぐな姿は、ご両親の愛情と生き様を受けてきた故なのだろう……。
「修平も予定大丈夫そうだったら一緒に行こうね?」
「うーん、……真帆とのデートを邪魔すんなって釘刺されてる」
「え!?ソフィアさんに?」
「あの人、ずっと娘が欲しい欲しいって言ってたし、幼馴染みも今は上京してるからね。
ほら昨日、式に来てくれた…」
「あ!黒髪美人の、怜葉(ときは)ちゃん!?」
私の感想そのままな発言に笑いながらひとつ頷くと、彼は言葉を続けた。
「ときちゃんのこと、ほんと猫可愛がりしてたからね」
「そうなの?」
「ああ…、ときちゃんは事情があって名古屋にある母方の祖父母の家で過ごしていたから、いつも気に掛けてたんだよ。
彼女も今では東京に戻って社会人生活をしてるしね。母さんからすると、親離れした娘みたいで寂しいとは思うよ」
ちなみに“ときちゃん”とは、彼ら一家特有の彼女の呼称だ。
日本人形のように色白で艶々の長い黒髪が美しい怜葉ちゃんはそう呼ばれる度、ちょっと気恥ずかしそうだった。
学生時代の途中に帰国してご近所に幼なじみがいない私はほんのり羨ましく感じたけれど、それ以上に彼らを微笑ましく思ったの。
「あ、でも婚約中だって聞いたよ?」
「ああ、今回は相手方が海外出張中で来られなかったらしいけど、高階コーポって知ってるだろう?そこの御曹司だよ」