エリートなあなたとの密約


頑丈なドアの向こうは相変わらず雑然とした光景が広がっていて、今日もそれを一瞥しながら最奥を目指す。


また早朝ともあって、出社している人はまばら。徹夜組と雑務を抱えた役職者が数名といったところ。


「おはようございます」と、すれ違いざまに挨拶を交わしながら進む。


こうして自分たちの職場に無事到着し、五席ある対面式デスクのひとつに腰を下ろす。


そんな私たちの所属する構造課は、この四月からさらに細分化された。


本社グループ企業からの試作品を専属で請け負う、構造課第1グループ。そして、他社から受注した品に従事する、第2グループへと分けられた。


ちなみに私は、主に第1グループを任されることになった。同様に、他の課内でもグループ編成されている。


すべての目的は、第1と第2内の相互協力を前提に更なる効率化を図ること。


ちなみに松岡さんは、今や課の垣根を越えて部全体をカバーしているので構造課にかかりきりとはいかない。


そのため全体を見渡せるようにと、彼のデスクは部屋の最奥にある構造課と少し離れた位置にある。


この編成をしたのは、構造課を作りだした修平と、彼のことを公私ともによく知る松岡さんだ。


彼らの提案により今年度からスタートした新体制は、課内の能率や個々の責任感がアップするのは明白である。


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