エリートなあなたとの密約


それがまた、こうして大好きな人たちと笑い合える今へと繋がってもいる。


「修平」

絵美さんと松岡さんが自らのテーブル席へ戻り、壇上にまたふたりだけとなったところで声を掛けた。


「ん?」

「……ありがとう。これからもよろしくね」

彼は不意の言葉に僅かに目を丸くしたものの、すぐに破顔してくれる。


「こちらこそ」

私を見つめるダークグレイの瞳は、本当に優しい。もちろん、彼に伝えたいことは数え切れないほどある。


でも、言葉では言い尽くせないほどの想いだから、率直でシンプルなものになってしまうけれど。……願うはただひとつ。


最愛の修平と出会えて本当に幸せだから、彼もまたそうであって欲しいなと……。



こうして名古屋での結婚式を終えた私たちは翌日、のんびりする間もなく帰京することになった。


本当は市内在住の修平のご両親も交えてゆっくりしたかったが、仕事の都合上そうもいかず。


直前までスケジュール帳を睨めっこしながらも、泣く泣く諦めるしかなかったのだ。


ただ修平のご両親は宿泊したホテルでのブランチを終えて、名古屋駅まで私たちの見送りに来てくれている。


乗車予定の新幹線の到着を待つ間、プラットホームでも会話は尽きなかった。



「真帆ちゃん、何かあれば“コレ”の首根っこ掴んで帰ってきなさい!いいわね!?私が成敗するから!」


「え……、と」と困惑した私は、隣の修平にヘルプの視線を送ってしまう。


< 9 / 100 >

この作品をシェア

pagetop