エリートなあなたとの密約
それがまた、こうして大好きな人たちと笑い合える今へと繋がってもいる。
「修平」
絵美さんと松岡さんが自らのテーブル席へ戻り、壇上にまたふたりだけとなったところで声を掛けた。
「ん?」
「……ありがとう。これからもよろしくね」
彼は不意の言葉に僅かに目を丸くしたものの、すぐに破顔してくれる。
「こちらこそ」
私を見つめるダークグレイの瞳は、本当に優しい。もちろん、彼に伝えたいことは数え切れないほどある。
でも、言葉では言い尽くせないほどの想いだから、率直でシンプルなものになってしまうけれど。……願うはただひとつ。
最愛の修平と出会えて本当に幸せだから、彼もまたそうであって欲しいなと……。
こうして名古屋での結婚式を終えた私たちは翌日、のんびりする間もなく帰京することになった。
本当は市内在住の修平のご両親も交えてゆっくりしたかったが、仕事の都合上そうもいかず。
直前までスケジュール帳を睨めっこしながらも、泣く泣く諦めるしかなかったのだ。
ただ修平のご両親は宿泊したホテルでのブランチを終えて、名古屋駅まで私たちの見送りに来てくれている。
乗車予定の新幹線の到着を待つ間、プラットホームでも会話は尽きなかった。
「真帆ちゃん、何かあれば“コレ”の首根っこ掴んで帰ってきなさい!いいわね!?私が成敗するから!」
「え……、と」と困惑した私は、隣の修平にヘルプの視線を送ってしまう。