エリートなあなたとの密約
そして和やかに会食は進み、最後の水物には季節のフルーツと和菓子が運ばれてきた。
これもまた怜葉ちゃんの大好きな物のようで、どうやら今日の献立は彼女仕様らしい。
すべて美味しく完食し、歓談していると、突如ドドド!と騒がしい音が戸の外から聞こえてきた。
それが何の物音かを予想するまでもなく、襖をスパーン!と軽快に開けたのは例の“まーくん”だ。
この登場はいつものことなのか、平然とした様子で迎え入れる彼らと違い私は目を白黒させてしまう。
つかつか、と部屋の中へ足早に入って来た彼。そのまま、とろんとした顔で脇目も振らずに一点へ向かう。
「姫ぇえええ!厨房でずっと、会いたくて会いたくて震えてたぞ!」
真っ白い板さんの格好に身を包む大柄な男性は、そう言って勢いよく彼女に抱きつこうとする。
しかし、例のごとくギリギリのところで彼女の隣から伸びてきた手がそれを阻む。
怜葉ちゃんをその腕の中へ抱き寄せた高階さん。まーくんは今回もまた、彼を鬼の形相で睨みつけている。
「時代遅れ加減も絶妙だよね、相変わらず。
出来れば、震えたまま凍りついてくれて良かったのに」
「姫ええええ!」
怜葉ちゃんはマイペースらしさを見せ、その攻防など意にも介さず。それでいて、攻撃も忘れない。
まーくんはよほどショックだったのだろうか、発狂とともに大きな音を立てて膝から崩れ落ちてしまった。
ちらり、と私が隣を窺ってみると案の定、修平は小さく肩を震わせて笑っていた。これもまたいつものことらしい。