禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「どうしてお前がここにいる」
いつの間にか部屋に入ってきたその男に気付いた者は少なかったが、低く発したその声にその場にいたほとんどの者が振り返った。
「……兄さん……!!」
その男の姿を目にしたアンが声をあげた。
「やあリヲ、おかえり」
ミシュラが片手を上げながら飄々と言うと、リヲは不機嫌そうな顔をさらに歪ませ語気を強めた。
「なぜそいつがここにいると聞いているんだ。訓練は明日からだろう」
けれどミシュラは怯む事もなく、同じ調子で言ってのける。
「訓練は明日からでも城に到着されたのは先刻だ。陛下への謁見の後、第一騎士団に挨拶をしたいと仰って下さったから、外出中の団長に変わって僕が案内してさしあげたのさ」
けれどリヲは、不機嫌な顔に遂に怒りを滲ませると今度はアンに向かって言った。