禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「アン!!」
城の廊下をカツカツと早足で歩くアンの背を追いかけて来たのは、顔いっぱいに困った表情を乗せたミシュラだった。
「やあ、追い付いた」
息を切らせながらミシュラはアンの肩に手を置いて言う。
「さっきはすまなかった。まともな弁解も出来なくて君が怒られるような事になってしまって」
アンはミシュラの手を肩に乗せたまま振り返ると
「優しいのね、ミシュラ副長。ありがとう、でも私は大丈夫よ」
そう言って、空気が柔らかくなるほどの明るい笑顔を向けた。
その様子にミシュラは驚きと少々の拍子抜けを感じる。