禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
砂埃が舞い観衆の目が遮られたがやがてそれは直ぐに治まり、皆の目に映ったのは…倒れ込んだアンの背中を抑え込み、後れ毛の零れる首筋に剣の切っ先を突き付けたミシュラの姿だった。
「…そこまで」
リヲが相変わらず腕を組んだまま冷静な面持ちでそう審判すると、周囲からどっと歓声が上がった。
「すっげえ!さすが副長!あの状態から逆転したぜ!」
「それよりもあの女、只者じゃないぞ!?いくら団長の妹だからってうちの副長にあれだけ隙を与えないなんて!」
どよめきの中、ミシュラは額の汗を零しながら剣を引くと
「大丈夫かい?」
と言って倒れ込んでいるアンに手を差し伸べた。
素直にその手を取ったアンは礼を言って立ち上がると、転んだ子供の様にパンパンと服をはたいて埃を払った。そして
「さすが副長。お強いですね」
と、実に楽しそうで屈託の無い笑顔をニッと向けた。