スイートペットライフ
***

「ミィ、ミィってば。起きないとチューしちゃうよ~」

不穏な気配を感じて、目を“バチッ”と開ける。

そこには身目麗しい男性の顔が。

「ぎゃ!」

私が驚くのを見て「がははは!ミィってばよだれ垂らしていたよ」なんて言いながら、おなかを抱えている大倉さんがいた。

「寝言で『オミ君~』って言ってた」

「ウソツキ」

それだけは即答できる。

「ばれたか……」

クスリと笑ってドアに手をかける。

「いつか、寝言で僕の名前呼んでくれる?」

「え?何ですか?」

大倉さんの声があまりにも小さかったので、私は聞き取ることができなかった。

「何でもないよ。さぁ、降りて」

そう言われて私も助手席から降りた。

大倉さんに連れてこられたのは、自然と触れ合えるアミューズメントパークだった。隣には動物たちと触れ合える小さな動物園が併設されている。

周りには、カップルもいたけれど圧倒的に家族連れが多い。

ドッグランも併設されているからか、リードに繋がれた犬たちもたくさんいた。

「おっと、僕もリードしなきゃ」

そう言うやいなや、荷物を持っていない手で私の手を握りしめてきた。

「なんかミィの手、久しぶりの気がする。最近お出かけしてなかったもんね。ごめんね」

別に謝ってもらわなくてもいいですよ。私一人でおでかけしていますから。

「あの、もしかして今日一日これなんですか?」

私は繋いだ手を持ち上げて聞いてみる。

「当たり前だよ!僕は飼い主として――」

「わかりました!さぁ、行きましょう」

そう言って私は大倉さんの手を引いて入口のゲートに向かって歩き始めた。
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