スイートペットライフ
芝生の上に大きなタータンチェックのレジャーシートを広げて二人で座った。

二人しかいないのに、お弁当は三段の重箱だ。

「こんなに誰が食べるんですか!?」

朝見た時はこんなになかった気がする。

「ミィだよ。しっかり食べないと――」

「わかりました。食べます!」

どうせ乳の話を持ち出されるんだ。だったら黙って食べよう。

「いただきます」

両手を合わせて出汁巻き卵に早速手を伸ばそうとする。するとすっと重箱が取り上げられた。

「もう、だめじゃない。はい、あ~ん」

そう言って、出汁巻き卵を私の口元に運んできた。

「あの、外ではちょっと……」

分かって!こんな羞恥プレイ耐えられない!

そんな私の願いもむなしく……

「だーめ。さぁ、あ~ん」

出汁巻き卵を口に押し付けてくる。私はあきらめた。

そして羞恥心というものを今この時点で私の中から消した。

「あ~ん?」

パクリと食べると、口に広がる絶妙な味。

う~~ん!おいしい。顔がにんまりしてしまう。

それを見た大倉さんは満足そうだ。

そして次はおにぎりのお重を差し出してきた。やっと自分で食べさせてもらえるんだ。

そう思って、大好きな明太子を選んで口に運ぼうとした。

「ストーーーップ!」

いきなり止められたので、私は口を大きく開けたままだ。
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