片想連鎖 ~伝えたい心~

発症

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先生、話が長過ぎだよ!
もう30分も経ってんじゃん?!
『1年エースの貴重な練習時間に頼んだんだ!呼ばれたら直ぐに来い!』とか!
そんなん私が知ったこっちゃないよ!
だから先生の人選ミスなんだってば!

長谷川先生に長々とお説教をくらった私は、心の中で愚痴りながら、急いで下駄箱に向かった。
  


下駄箱に二人の姿を見つけた。

何か話をしていたけれど、私は息を切らせながら…
『ごっ…ごめ…っ!』
と謝った。

遅くなった言い訳に、先生とのやり取りを一通り話す。

絵里は苦笑いをしながら、
『うーわっ。とばっちりお疲れ…。』
と言い、美樹は優しく微笑みながら、
『大変だったね?でも、済んだしね?』
と言ってくれた。


内心、絵里がまたナオの話を始めるんじゃないかとヒヤヒヤしたけれど、その話題を持ち出す気配が感じられなくて、逆に拍子抜けしてしまった。


や、その方がいいんだけど…


私は、ホッと胸を撫で下ろす。

その変わりという感じで、教室を一緒に出て行った佐々木君との事を聞かれたんだ。
私が鬱憤を晴らすかの様に一部始終を話したら、何故か二人は私を見て微笑んでいた…


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