誠につもる白雪かな
喜「....行きはりました。もう大丈夫どす。」



そっと凛が顔を出せば喜右衛門は微笑んで帳場に座っていた。


凛「あの...突然すみませんでした...。」


そういって出で行こうとする凛を喜右衛門は引き留めた。


喜「どこ行きはるん?」


凛「新選組に追われているんです...。枡屋さんにご迷惑はおかけできませんから...」


眼に涙をためて見つめる凛。


喜「.../////なんやその...そないに着乱れて...女子が一人で危ないんと違いますやろか。長州のお知り合いならなおさらや。落ち着くまでうちにいてくれたらええよ?」


頭をなでる喜右衛門を見ればなるほど。
なかなかの美形である。

新選組も美丈夫揃いだとは思ったが
彼もまたなかなかだった。

しかしながらやはり噂通り女好きらしい。


凛「ありがとうございます!!宜しくお願いいたします。」


恭しく頭を下げた凛を見て
満足そうに下世話な笑みを浮かべる枡屋だった。

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