あの夏、私は「恋」を知 り ま し た 。
*すべてのはじまり
「ぷっふぁー!おいひぃー!」
ジリジリと暑い真夏の中あたし達はいつものように駄菓子屋に寄ってはアイスを頬張っていた。
「ほんと、ほんとー…生き返るよね」
アイスを美味しそうに頬張るこの子は
*天野 夏希*。
「お前らなぁ、自分で買えよなぁ」
いつもあたし達にアイスを買ってくれるこの子は*青山 光*。
どちらも大切なあたしの幼馴染だ。
そしてあたしの名前は*藤原 日向*高校2年生だ。
「あ、やばっ‼そろそろ帰んなきゃ!」
アイスをくわえたまま時計をみて慌てだす夏希。
「なに、用事あんの?」
「うん…だからさ今日は2人で帰ってくんない?」
重ねた両手を頭の上へ持ち上げ深々とあたしと光にお願いをする。
今日は終業式で明日から夏休みだ。
いつも一緒に帰ってるけれど夏休みになると三人で一緒にここを歩くことは少なくなる。
だから、なんとなく揃って帰りたかったのだが…しょうがないよね。
あたしはそう思い夏希に「分かった」と言いその後から光も頷く。
「まじゴメンねっ!ならばいばーい!」
夏希はそういいながら手を大きく振りにこやかにあたし達の前から去って行った。
夏希の姿がなくなる頃やっとあたしと光は言葉を交わした。
「お、おいアイス溶けてんぞ」
光に言われハッと気付けば溶けかけていた。
あたしはすぐさま溶け落ちそうなところにかぶりついた。
「んむっ……はーっ危ない危ない!」
危うく落ちかけそうだったアイスは無事あたしの口の中に入り手には落ちずに済んだ。
「お前、ボーッとしすぎな」
ケラケラと笑う光。
「もう煩いなぁ…。あっ!光!」
あたしは思い出したかのように光の制服の裾を強く引っ張った。
「 んだよ!?」
「ねぇ、憶えてる!?」
「え、なにを?」
「あたし達の秘密基地!!」
そう、あたし達は昔にある神社に秘密基地を作ったのだ。
段ボールで家を作ったりとかじゃなくて普通に神社そのものがあたし達の秘密基地だった。
「秘密基地…? あぁ!あの神社のか!」
光もやっと思い出したらしく手のひらに拳をポンッと置いた。
「あの秘密基地ってまだあるかな?」