無力な僕らの世界と終わり




「どうもなってないよ……」


そう、多分、あたしと瑠樹亜は。
知り合い以上、友達未満。


「でも、すごいよ、ひよは。
まさか、瑠樹亜とここまで仲良くなるとは思ってなかった」


のんがそう言って露骨に驚いて見せるから。
あたしも何だかその気になってしまう。


仲良く……
仲良く見えるのかな。

もしそうなら、めちゃめちゃ嬉しいけど。



「私も今日はひよとマック行きたかったけど、瑠樹亜に先越されちゃったな」


「え? そうなの?」


「うん、でも。
相手が瑠樹亜なら遠慮しなきゃ」



のんはあまり詳しく、あたし達のことを聞いてきたりはしない。

自分の恋に忙しいという理由もあるとは思うけど。
のんの、その。
するりと人の懐に入っておきながら、ぐちゃぐちゃにかき混ぜたりしないところが、あたしはすごく好き。

踏み込んでもいいところかどうかを。
本能で見極めてる。


すごい才能だと思う。



「明日から修学旅行だもんね。
ひよ、浮かれて、忘れ物なんかしないでよ?
私も、今日は早く帰って、支度しなきゃ。
班長だから、遅刻する訳にもいかないしね。
あ、向井にもちゃんと言っておこう」


そう、明日から、いよいよ修学旅行なんだ。

だから、今日は、マックでミーティングがあるんだろう。


『世界を終わらせる』計画の。







< 147 / 215 >

この作品をシェア

pagetop