廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜
『どうして戦地に……いかなければ……ならんのですか?軍隊とは無縁の人間が、薄い紙切れ一枚で引っ張られて……
それに殺されるだけが怖いのではない。
オレは見たんだ。
支那にいる日本兵が敵兵だけじゃなく、その村の人間を虐殺し、火を放った。
上官の命令とあらば、そんなことまでしなくてはならない。
オレは嫌だ。絶対に嫌だ』
『生きるためじゃ。
あたいも生きるために、色んな男に股を広げて……耐えて耐えて暮らしてとるんよ。
生きるために、罪のない人を殺さんにゃいけん。
それが【戦争】
それが【戦争】なんじゃ』