廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜


お陽は背のうを背負い、軍帽を被った悟に向かい正座をする。




『武運長久を……お祈り申し上げます』




お陽は摩りきれた畳に三指をついた。






その指にはまだ白粉が残っていて、悟はさっきまでの情事を思い出す。



ほんの少しだけ気持ちが和らぎ、やっと笑顔を浮かべる二人。













朝露も凍る、寒い寒い朝であった。





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