廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜

『悟。一度しか言わねえぞ』




義父は悟に向き合って、その胸ぐらを掴んだ。


職人で鍛えた太い腕。


今までに何度もこんな風にして殴られた。


戦地に行く身になってまでも殴られるのかと、悟は義父を反骨の眼差しで睨む。




しかし、義父は微かに聞こえる声で悟に言い聞かせた。



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