くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「わしは大丈夫さぁ。じゃけん、このわらすが気の毒でのぉ……ずいぶんと冷たい中を生きたば、寂しいわらすだば。
おまえさん、縁(えん)が薄かったじゃろ?」


おばあちゃんの言いたい事はだいたいわかる。

野島が寂しい生活を送って、縁……つまり人との関わりが薄い人生を生きてきたと言いたいんだ。


だけど、野島がそんな生活してたなんて?


合わないのにアルバイトで働いてた姿を思い出す。


あの時は何の関心もなくてどうしてと思わなかったけども、よくよく考えてみれば、あたし達のような高1からアルバイトするなら、お小遣い欲しさか生活が苦しい学費稼ぎか生活費稼ぎしか理由しかない。


将来の進学のための学費稼ぎにしても、この山潮には高校以上の学校はないから、電車で1時間かかる都市部に出てくしかない。


なら、野島は生活費稼ぎのため?


あたしが野島を見ると、やつは頭を掻きながら両手を挙げた。


「まいった、その通りですよ。俺は家族がいなくて小学生の時から一人暮らししてるからね。
鈴本も見たように、生活費を稼ぐためにアルバイトしなきゃ生きてけない。後見人はいるにはいるけどな、俺に支給されるお役所からの各種手当てを引き出すといつもドロン。後はパチンコや飲み屋で使っちまうからな、当てにはできないわけ」
< 54 / 305 >

この作品をシェア

pagetop