Summer again with
『…そ、そちらの…名前は…?』
そのひとは、『ああ』と思い出したように笑った。
そして楽しそうに、誇らしげに、教えてくれた。
その、名前を。
『ナツ』
…海が、輝く。
体の温度が上がって、汗が頬をたらりと伝う。
…君がいる季節が、生まれた。
*
次の日、私は夏休みの課題と五百円玉を持って、おじいちゃん家を出た。
家族は今日、おじいちゃん家でゆっくりすると言っていたけど。
私は、わざわざ日焼け止めを塗って、外に出た。
目指すのは、海。
半袖のTシャツを着て、昨日言われた場所へ向かう。
かけられたすだれをくぐって、店のなかへ入った。
木で作られた椅子と机が並べられ、ちらほらと人が座って、食事をしたり談笑したりしている。
メロン味のかき氷を買うと、私は海の家を出ようとして、その姿を目に映した。
『…あ』
ラムネの入ったケースを持った彼が、ちょうど店のなかへ入ろうとしていた。
『来てくれたんだ!?』
ケースをその場に置いて、ぱあっと顔を輝かせる。
私は目をそらしながら『かき氷が食べたかったから』と可愛くない返事をした。
『いいよ、ありがと!』
腰につけるタイプのエプロンに、白いタンクトップ。
肩にタオルをかけた彼はなんだか爽やかで、その名前によく似合うひとだなと思った。