Summer again with
彼は私を店のなかへ入れると、適当な席に座らせた。
『あ、ラムネいる?』
目の前に、水滴の浮かんだ透明の瓶が差し出される。
カラン、とビー玉の綺麗な音がして、口のなかで炭酸のシュワシュワとした感覚が蘇った。
『お、お金ないし………』
欲する気持ちに反して、逆の言葉が口から出てくる。
けれど彼はわかっているのか、『いーよ』と笑った。
『俺のおごり。飲みな』
目を細める彼に、戸惑う。
なんで、そんなに優しいんだろう。
昨日会ったばっかの、中学生に。
私は『ありがとう』と礼を言うと、ラムネを受け取った。
彼は、よく日に焼けたオーナーらしきおじさんのところへ、戻っていった。
…ラムネを、開ける。
カランという音を立てて、ビー玉が落ちる。
結んだポニーテールが、揺れる。
ラムネを少しずつ飲んでいると、彼がやけにニコニコしながら、こっちへ来た。
『今から休憩時間なんだけど。海、行かない?』
海岸を指差して、私を見つめるナツさん。
…ほんとに、なんで私に構うんだろ…
不思議に思いながらも、私はこくんと頷いた。
海岸に出て、彼の後ろをついて行く。
彼は海岸の堤防に座ると、私に隣に座るように言った。
課題とラムネを持って隣に座ると『えらいね〜』と言われた。