Summer again with
彼が、電車に乗って隣町の高校に通う、二年生だということを知った。
去年から、海の家でバイトをしていることを聞いた。
海の家のオーナーである哲さんが花火をくれて、海岸で線香花火をした。
この町を出るとき、私は帰りたくないと言って駄々をこねたけど、別れ際ナツはこう言った。
『来年も会えるよ』
それを信じて、私はナツのいない季節を過ごした。
素敵な彼に、どうか追いつけるように。
可愛くなりたい、と思った。
ナツがいる季節を思い出して、努力して。
そうして、迎えた次の夏。
おじいちゃん家について荷物を置くと、私はすぐに家を出る。
『…ちょ、未海?どこ行くの?』
お母さんが慌てた顔して玄関に来た。
私は、明るい顔をして言う。
『海!』
呆れた顔をされるけど、私は構わず走る。
懐かしい空気を吸って、去年より伸びたポニーテールを揺らす。
海の家に着くと、はやる気持ちを抑えてなかへと入った。
懐かしい日に焼けた肌の男性が見えて、私は笑顔になる。
『哲さん!』
ドリンクの入ったグラスを持っていた哲さんは、私の姿を見て目を見開いた。
『おお、未海ちゃん!今年も来たのか!』
久しぶり〜、と挨拶を交わす。
去年知り合ったこの町の人もいる。
けれど、私がいちばん会いたいひとはいなくて。