大切なもの
ガラガラと音を立てながら扉を開ける先生。


「今日は係決めをする。皆、なりたいと思う奴に手をあげろー」


私…何やろうかな。係は男女1人ずつ。


どうせなら楽なのがいい…。と、いうことで図書委員になろう。


あれはただ図書館に座ってればいいだけだし。


「…図書委員」


私は手をあげた。


「えー…、城野と志田だな」


…ん?待って、待ってよ先生。


“じょうの”の後に“しだ”って言った?


しだ…シダ……志田…うそ!


同じ係になっちゃった!運命だ!


あちこちからは「城野さんいいなぁ」という声が聞こえる。


なんだか誇らしげな気持ちになる。


へへっ、いいでしょ?志田くんと同じ係で。


何気なく志田くんの方を見る。…わ、目が合っちゃった。


しかも、微笑んでくれた。


一人でにやける私。キモくっても、そんなのお構いなし。


学校にくる楽しみが一つ、増えちゃった。
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