素敵な上司とキュートな部下
「いないのか? 本当に?」
「本当です」
「それはつまり、今はたまたまいない、という意味かい?」
「いいえ、ずっといません」
(『いつから?』って聞かれたらどうしよう……。正直に、働きだしてからずっと……って、言う?)
「ああ、そうか。君はずっと仕事一筋なんだね? 君は真面目だからなあ」
「別にそういう訳では……」
もちろん加奈子は仕事一筋という訳ではない。仕事は好きだが、それ以外の事もしたいと思っている。例えば、恋も……
たまたま縁がなかっただけ、と加奈子は思っている。積極的に相手を探す事はしないので、努力不足と言えなくもないが、浅ましい気がして、そんな努力をする気は毛頭なかった。
縁さえあれば、いつか素敵な男性と出会い、熱い恋に落ちるはず、と加奈子は考えていた。しかし……
今や30歳を過ぎ、親友の志穂が結婚して幸せに暮らすのを見ると、自分はのんびりしていてはダメなのかも、と考えるようになってきた加奈子ではあった。
「本当です」
「それはつまり、今はたまたまいない、という意味かい?」
「いいえ、ずっといません」
(『いつから?』って聞かれたらどうしよう……。正直に、働きだしてからずっと……って、言う?)
「ああ、そうか。君はずっと仕事一筋なんだね? 君は真面目だからなあ」
「別にそういう訳では……」
もちろん加奈子は仕事一筋という訳ではない。仕事は好きだが、それ以外の事もしたいと思っている。例えば、恋も……
たまたま縁がなかっただけ、と加奈子は思っている。積極的に相手を探す事はしないので、努力不足と言えなくもないが、浅ましい気がして、そんな努力をする気は毛頭なかった。
縁さえあれば、いつか素敵な男性と出会い、熱い恋に落ちるはず、と加奈子は考えていた。しかし……
今や30歳を過ぎ、親友の志穂が結婚して幸せに暮らすのを見ると、自分はのんびりしていてはダメなのかも、と考えるようになってきた加奈子ではあった。