素敵な上司とキュートな部下
大輔のアパートは駅から歩いて5分ほどの場所にあった。二階建てで、建ってからあまり年数は経っていないようで、真新しくて洒落た感じのする建物だ。


「僕の部屋は二階の手前から3つ目の、あそこです」


アパートの前の駐車場で立ち止まると、大輔はそう言って二階の自分の部屋を指差した。


「そう……」

「じゃ……」

「ちょっと待って? やっぱり、私……」


“こういうのは良くないと思う”と、加奈子は言おうとしたのだが、


「すぐですから」

「すぐって、そんな焦らなくても……」

「主任はここで待っててください」

「待っててって……え?」


唖然とする加奈子を残し、大輔はアパートの階段を一段飛ばしで駆け上がって行った。


(ど、どういう事? 部屋を片付けるとか?)


加奈子が首を傾げて見上げていると、大輔は自分の部屋に入り、しかし数秒後にはまた出て来て、やはり階段を駆け下りて来た。


「はあ、はあ、お待たせしました……」


さすがに息を切らす大輔だが、手に何かを握っていた。

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